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 令和2年度 第2回(11月22日実施) 工事担任者試験 受験レポート

区分:AI・DD総合種

受験地:名古屋(中京大学 名古屋キャンパス)  天候:晴

概要:

 このAI・DD総合種工事担任者試験は、工事担任者規則による資格の中では、最上位の区分です。

 工事担任者は、端末設備(又は自営電気通信設備)を、事業用電気通信回線に接続するために必要な国家資格です。端末設備を事業用電気通信回線に接続して、必要な調整や試験を行ったり、端末設備のうち無資格で接続を行えない機器や配線工事(技術基準認定を受けていない機器や、プラグジャックや電波式などでないもの)を行うために必要となります。なお、分界点より事業者側(電柱側)の線は、電気通信事業者の管理であり、電気通信主任技術者の監督の下で、通信会社やその委託を受けた者が工事を実施しますので、工事担任者には権限はありません。

 試験は、AI種(アナログ)と、DD種(デジタルデータ)の2区分に大別され、AI,DDそれぞれが第1,2,3種と細分化されています。第1種が当該区分の全ての工事の実施及び監督を行え、2,3と下がっていくにつれ、工事と監督を行える回線数や速度の制限を受けますが、難易度が下がり取得しやすくなっていきます。また、AI・DD総合種という今回受験したものは、AI第一種とDD第一種を合わせた区分ですが、第一種×2でも申請だけで取得でき、総合種との違いはありません。試験を1度で取得するか、2回に分けるかの違いです。

 工担の登竜門として特に人気が高く受験者が多いのはDD3ですが、今回は、DD3の次に受験者の多いAI・DD総合種を受験しました。こちらは「アナログ伝送路設備又はデジタルに端末設備等を接続するための工事の施工又は監督」が範囲で、その名の通り、AI第一種とDD第一種が合体した、工担の中では右に出るものはいない最上位のクラスになります。

 また、主にソフトの部分を取り扱う情報処理技術者試験とは違い、通信回線、通信設備というハード的な部分を扱う情報系試験として、取得を目指したい資格の一つです。

 注)令和3年度試験より、資格区分の再編が行われ、受験者数が著しく少なかった2種は廃止、AI1・3種→1・2級アナログ通信、DD1・3種→1・2級デジタル通信、AI・DD総合種→総合通信と名称が改められました。再編と名称変更のみで、工事の監督を行える範囲は、新旧どちらの資格も差異はありません。AI/DD/AI・DD総合種の資格(旧アナログ・デジタル種と廃止となった第2種除く)を現に受けている方は、新資格を有しているものとみなされることとなっていますので再取得等は不要です。また、科目合格も名称変更後の受験に対して引き続き有効です。

 

 

問題構成、時間

 

 

  • 問題構成
    • 3科目97問あります。問題数としては、ITパスポートクラスで、多い方でしょう。
      • 「電気通信技術の基礎(基礎)」22問
      • 「端末設備接続のための技術及び理論(技術)」50問
      • 「端末設備の接続に関する法規(法規)」25問
    • 科目合格や科目免除などがあります。科目合格は3年間有効です。
    • 各科目ごとに60点以上で合格です。平均ではありませんので各科目均等に60点以上取れるように勉強してください。
    • 基本的に1問5点ですが、基礎に限り、4点と5点の問題があります。主に知識問題である大問2,5が4点、計算系問題の大問1,3,4問が5点です。

 

  • 時間
    • 1科目40分(技術は80分)です。
      • 試験時間 160分
      • 科目免除がある場合、試験時間は受験する科目ごとの時間の合計になります。
        • 技術科目受験者 80分
        • その他科目受験者1科目あたり 40分
    • 全科目一斉に問題/解答用紙が配布され試験が実施されますので、2科目以上受験の場合、科目ごとの時間の割り当てや解答順は受験者の自由です。全科目受験の場合ですと、技術に100分かけて残り2科目を60分で解く…というのもOKです。
    • 基本的に「基礎」の解答に時間がかかるので、初回受験の160分を活用して「基礎」だけは絶対に合格しておくというのが合格のコツです。総合種で、基礎を40分で解答するのはかなり辛い(見直せる時間は残らない)ので、基礎だけは絶対に落とさないことが重要です。

 

試験日までの勉強方法と試験で得た成果

 


 この資格の王道の参考書は、リックテレコム社の問題集と標準テキストです。

 今回は、テキストは購入せず、リックテレコム社問題集+過去問6年分で挑みました。

 過去の第三種(AI・DD)同様、「過去問学習を完璧に」という方針で、約4か月間勉強しました。

  • 私の受験者レベル

    • 関連する分野の資格 AI、DD(第三種)、2級アマチュア無線技士、1級陸上特殊無線技士、4級海上無線通信士、2種電気工事士、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、特監法資格者

    • 関連する実務経験 電気屋4年(10年前に離職)、アマチュア無線16年、工担実務の経験なし、現在は無関係の職種

    • 知識はまあまああるが、電気屋を除いて業界経験者ではありません。PCや無線は好きなのですが、計算は大の苦手です。

  • 基本的な学習の進め方

    • まずは、リックの問題集で基本的な知識と実力をつけます。普通の人はいきなり本試験過去問に取り組んでも、解説がないのでなぜ間違ったのか、意味が分かないことになるだけです。

    • リックが一通り理解できるようになったら、学習した大問や科目の本試験過去問もやってみます。意外と穴あき位置や数字が変わったりして、それだけで解けなくなったり、リックにない問題も出現して意外と得点できず焦ると思いますが、リックやネットを参考にしながら学習してください。この「焦り」を勉強中に味わうのか、試験当日に味わうかの違いが、プラスαで本試験過去問に取り組むか取り組まないかの違いです

    • ※リックは過去問の厳選版なので、抜けやハズレもあります。リックだけに頼ると、技術は特にギリの可能性が高いです。技術だけでも過去問5〜6年分は必ず取り組みましょう。

  •  基礎 (1か月半)

    • 1 まず、絶対に落とせない基礎の文章題の一通り学習に2週間

    • 2 取れそうな計算系問題のを吟味と攻略+文章題の復習に1か月

    • 対策

      • 文章題の過去問は絶対に落とさない意気込みで完答を目指します。文章題の過去問は、まんま出題が多いですが、文章題は新問が数問出現しますし、基礎は計算系問題の比率が約半分あるので、過去問完答でも48点程度(配点は最高52〜56点程度)です。これだけでは合格点には届きません。

      • なので、計算系問題も必ず攻略する必要があります。

        2−オ(トランジスタ回路の電流計算)、3−ア(ベン図)、3−イ(2進数、論理回路)、3−ウ(フリップフロップ回路)、4−ア(損失計算)、4−ウ(電圧反射係数計算)は、しっかり解き方さえ学習すればパターン化されていて、新問(新しい解き方)はまずないので、解答は容易です。数種類のパターンがありますが、どの題意の時にどのパターンを使うのかをよく整理し、解き方をしっかりマスターしましょう。なお、原則として同じ数字の問題は出ませんので解答丸暗記は役に立ちません、やめましょう。

        2−オは、文章題になることもあり、4点ですが、それ以外の計算系部分は5点配点ですので、非常にウェイトが大きいです。これだけで29点UPしますので、先の文章題を48点と見積もっても77点になり、合格ラインを余裕とは言えませんが、無難に超えられます。

      • 素養のある方は追加で、電圧、電流計の計算問題1−ア・イ、2−イもできれば、より合格に余裕ができますが、素養がないと学習に時間がかかるので、捨て問にしても構いません。
        3−エ(ブール代数)は、すでに素養のある方を除いて、捨て問とするのがこの試験の王道です。かなり手間を必要とする奇問の類です。必ず出題はされますが、めちゃくちゃ学習と解答に手間と時間を食う割に5点なので、ここに時間をかけるぐらいなら、ほかの計算をしっかり攻略した方が良いです。
        運もありますが、捨て問4問は、同じ番号のマーク(全部4とか)を適当にしておけば、5択ですので1問程度はまぐれで取れるはずです。

  • 法規 (2週間)

    • 基礎の復習をしながら、法規を勉強。法規は、ほとんど過去問のまんまか類似で8割の出題なので、過去問攻略を完璧にすればそれ以上の発展的な勉強は必要ないと思います。新問は、1〜2問程度です。

    • ただし、引っ掛け要素が多く、範囲もそれなりにありますので、舐めてかかってはいけません。過去問でどこが出題され、どこで引っ掛けられるのかをよく確認しておきます。出題範囲内の他の似たような数字をもっともらしく書いて引っ掛けてきたりしますので、あ、この数字見たことある程度では引っ掛かりますので、どの数字が何の条文の値なのかはよく区別しておきます。

    • 出題される条文は、ほぼ過去問部分に限定されているので、ネットで正しい条文などを確認しながら、間違った条文を覚えないよう、学習の初めから正しい条文を意識してください。一度間違ったのを覚えると、記憶の修正が大変です。

  • 技術(1か月)

    • 技術は、出題範囲も広く、問題も50問ありますので、じっくり取り組む必要がありますが、文章題中心で過去問の比率も高いので、過去問をしっかり学習します。新問の出題も多い科目です。配点は1問2点と小さく、問題数が多い分捨て問もそこそこ多く取れます。2020年秋の試験では新問が11問ありましたので、仮に新問全落としすると22点失います。さらに、若干ある計算問題等で数点失い、仮に30点失ったとしても、まだ実は5問追加で間違えてもギリですが60点確保できます。

    • 70点分は、過去問まんまかその混ぜ合わせ程度なので、過去問をしっかり攻略すれば、範囲はかなり広く余裕ではないものの、合格ライン越えは可能ですが、取り組むべき過去問もかなり多いので、なめてかかってはいけない分野です。

    • 総合種の醍醐味は、問題数が多いが故、1問あたりの配点が低く、すでに成熟しているAIの分野は過去問まんまなので、これらを中心に得点がしやすく、また、問題数の多さと範囲の広さが考慮されているようで、単独の第一種の技術に比べて若干いじわるな問題が少なく、総合的に考えると問題数は多いが難易度が単独の一種に比べると少し低めでAIとDDが一発で取れるという部分にあります。これが、単独の第一種ではなく、総合種を勧める合格者が多い理由です。

    • 計算系問題は、大問5でトラヒック系が1〜2問、大問9で、IPアドレスのサブネットと幹線・水平配線の設計、大問10のクリティカルパスです。私は、基礎科目の計算を重視し、あまり頭の中を苦手な計算でごっちゃにしたくなかったので、幹線・水平配線以外はすべて捨て問にしましたが、計算が得意な方は、そんなに難しい計算ではないらしいので、やれるかもしれません。

    • 私は、元々受験予定だった春試験の勉強で技術を少し甘くみていたところがあり、技術の勉強時間が不足気味になっていたので、技術は捨てて、基礎と法規に専念し、秋試験に技術のみ受験の予定でしたが、コロナの影響で春試験が中止となり、時間に余裕ができたので、今回は技術もしっかり念頭に置いて時間を確保しました。

    • 技術は、大問1〜6と7〜10をそれぞれ2週間ずつに分けて取り組みました。一通り解いてみて、私の苦手分野は明らかに7〜10な感じだったので、比較的点がとれた1〜6と取れなかった7〜10に分けて学習しました。

    • 一応、端末設備の接続については法令で監督者として職務に従事しますので、職長のような役割もあることから、マネージメント分野(QC、労働安全衛生法、5S、安全管理など)も、この技術分野で少々出題されます。

  • 総仕上げ(1か月間)

    • 最後の1か月間は、本試験過去問+リックをひたすら反復解きます。といっても、問題数も多いので、平日であれば朝1回と夜1回分、休日に少し頑張っても4回分が限界で、脳みそもかなり疲れると思います。

    • 回数をこなすのは、知識の定着と、何度も間違える問題の洗い出しのためです。過去問6年分はかなりの問題数がありますので、類似問題の整理不足や記憶の間違いなどによる、何度も間違える問題が出てきます。これが、当日あなたが過去問なのに誤答して落とすかもしれないもったいない問題の候補ですので、付箋などつけておいて、間違いを繰り返す問題は、毎日学習します。

  • 前日、当日

    • 何度も間違える問題と、不安な部分の復習程度に抑えておきます。あまり新しい知識を前日や当日に詰め込むと、脳が混乱する原因になるからよくないとどこかで聞いたことがありますが、個人差もあると思いますけど。とにかく、本試験で脳が疲れてしまっていて実力が発揮できない状態にならないよう、ほどほどの復習と休養のバランスを自己管理するのみです。

      朝に脳を目覚めさせるために、基礎のベン図や2進数、論理回路あたりをちょっとかじっておくのもよいでしょう。

      脳が完全に目覚めるのは起床後3時間後ぐらいだそうですので、9時の総合種の方は、6時には起床するようにしましょう。

 

 

 

 試験日

 

  • 朝に、ベン図、論理回路をさらっとやり、よく間違える問題の再確認と、幹線・水平配線の設計の計算式を見直しました。1時間ぐらいの目覚まし学習でした。
  • 新型コロナの関係で、検温があるから早めに来いとの指示だったので、7:30に出発、会場には8:30頃到着、検温はさほど混んでいなかったので3分ほどで終了し、30分前には試験室に入りました。
  • 15分ほどよく間違える問題の再復習だけして、9時にはトイレを済ませ、試験開始まで気持ちを切り替え、脳を休ませます。

  • 試験は、普通に基礎、技術、法規の順に解きました。過去問演習と同じようにやって、記憶がスムーズに引き出されるようにしました。

  • まず、新問を飛ばして一通り解答し、2度目は再チェックと新問を悩みながらマークシートへ記入、3度目は計算系だけ再度解きなおして誤りがないことを確認しながら、マークミスの再チェックをして、11:30に退室しました。

  • コロナ対策で試験室の扉は解放のままでしたが、そこそこ暖房も効いていたし、3階だったので外の環境雑音も聞こえず、試験室そのものは快適でした。

  • 技術が予想以上の11問新問が出題され、かなり解けなかった感があり、技術ヤバいかも感で絶望しかけましたが、落ち着いて絶対違う(意味を知ってる用語とか)選択肢を消去したら…あとは脳内鉛筆コロコロなり、勘に頼るしかありませんでしたね… でも、新問も5問は取れました。

 

 

 試験を終えてみて


 自己採点は、基礎87、技術90、法規96でした。

 なんだ、結構な高得点じゃねえかと思われそうですが、実は基礎の14点分は捨て問まぐれ得点、技術の6点分は考えたけど選択肢を絞り切れなくて勘でマークした問題の運得点でした。他、技術の斜め上の新問「防火区画のケーブル貫通」に関する問題は、実は特監法資格試験の時にやったのをなんとなく覚えていて、助かったり、「接地極の等電位ボンディング」は電工絡みで読んだ本の記憶が頭の片隅にありました。これら他の資格の知識に助けられた部分が+4点あります。

 正直、これだけの高得点でパスできるとは自分も思っていませんでしたのでかなり意外ですが、4か月間の勉強が無にならなくて本当に良かったと安堵しています。

 

 合格発表

 

  • 12月14日のWEB発表で合格を確認、12月21日交付で資格者証も到着しました。




  • 合格率
    • 受験者全体としては28%ですが、この試験は科目合格があります。
      工事担任者試験は、受験科目数など詳細な合格率が発表されています。
    • 3科目受験者の合格率は、15%でした。
      表にある中では最高の合格率で、若干易しかったのか、コロナウィルスの影響により春試験が取りやめになり、外出自粛でしっかり勉強時間を確保できて合格者が増えたのかは分かりませんが、それでも3科目受験の一発合格はやはり狭き門のようですので、これから受験される方は心して勉強に励んでいただければと思います。


 

 

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