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 令和元年度 第2回(11月24日実施) 工事担任者試験 受験レポート

区分:AI第三種

受験地:名古屋(中京大学 名古屋キャンパス)  天候:曇

概要:この試験は工事担任者試験の区分の一つで、AI種(アナログ、ISDN)の最下位の試験区分です。

 工事担任者は、端末設備(又は自営電気通信設備)を、事業用電気通信回線に接続するために必要な国家資格です。端末設備を事業用電気通信回線に接続して、必要な調整や試験を行ったり、端末設備のうち無資格で接続を行えない機器や配線工事(技術基準認定を受けていない機器や、プラグジャックや電波式などでないもの)を行うために必要となります。なお、分界点より事業者側(電柱側)の線は、電気通信事業者の管理であり、工事担任者が工事することはできません。

 試験は、AI種(アナログ)と、DD種(デジタルデータ)の2区分に大別され、AI,DDそれぞれが第1,2,3種と細分化されています。第1種が当該区分の全ての工事の実施及び監督を行え、2,3と下がっていくにつれ、工事と監督を行える回線数や速度の制限を受けますが、難易度が下がり取得しやすくなっていきます。また、AI・DD総合種というAI第一種とDD第一種を合わせた区分もありますが、こちらは、第一種×2でも申請だけで取得でき、総合種との違いはありません。試験を1度で取得するか、2回に分けるかの違いです。

 この中でも特に人気があるのが、DD3種で、「デジタル信号の入出力速度が毎秒1ギガビット以下であって、主としてインターネットに接続するための回線に係るものに限る」という条件が付されていますが、この資格で一般的な家庭内に設置されるPC、IP電話機、ブロードバンドルーター、ハブ、無線LANアクセスポイント、ネットワークカメラやホームセキュリティなどのLAN端末機器の工事を行うことができます。

 今回は、AI3種ですが、こちらは「アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る。)及び総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が基本インタフェースで1のものに限る。)」が工事範囲で、メタルの電話回線とISDN回線の工事を行える資格です。なお、回線が1に限られているので、主に一般住宅の工事となります。

 また、主にソフトの部分を取り扱う情報処理技術者試験とは違い、通信回線、通信設備というハード的な部分を扱う情報系試験として、取得を目指したい資格の一つです。

 

 

問題構成、時間

 

 

  • 問題構成
    • 3科目62問あります。問題数としては多い方でしょうか。
      • 「電気通信技術の基礎(基礎)」22問
      • 「端末設備接続のための技術及び理論(技術)」20問
      • 「端末設備の接続に関する法規(法規)」20問
    • 科目合格や科目免除などがあります。科目合格は3年間有効です。
    • 各科目ごとに60点以上で合格です。平均ではありませんので各科目均等に60点以上取れるように勉強してください。
    • 基本的に1問5点ですが、基礎に限り、4点と5点の問題があります。主に知識問題が4点、計算系問題が5点です。

 

  • 時間
    • 1科目40分です。
      • 全科目受験者 120分
      • 2科目受験者 80分
      • 1科目受験者 40分
    • 全科目一斉に問題/解答用紙が配布され試験が実施されますので、2科目以上受験の場合、科目ごとの時間の割り当てや解答順は受験者の自由です。基礎に100分かけて残り2科目を20分で解く…というのもOKです。
    • 基本的に「基礎」の解答に時間がかかるので、初回受験の120分を活用して「基礎」だけは絶対に合格しておくというのが合格のコツです。特に1種や総合種では基礎を40分で解答するのはかなり辛いようです。

 

試験日までの勉強方法

 

 この資格の参考書は、リックテレコム社の問題集と標準テキストしかありません。

 今回は、DD3に続き、DIYで自宅の回線を触ることを想定し、AI3を受験することとしました。
 テキストは、リックテレコム社の標準テキスト+問題集+過去問5年分で挑みました。

 昨年のDD同様、「過去問学習を完璧に」という方針で、約1か月間勉強しました。今回はDD3の資格が既にあるので「技術」科目のみの受験となり、20問のみの出題なので勉強量としてはかなり楽な方です。

 昨年のDDとは違い、アナログやISDN回線はほとんど知識がありませんので、まずはテキストを一通り読みましたが、正直、まともに暗記するにはかなりの量ですので、さらっと読んで概要を掴んだ後は、問題集に移りました。

 しかし、この問題集がちょっと曲者で、2019年の時点での最新刊は、2017年増刷の刊ですが、増刷のみで改訂は2007年以降されていません。

 成熟しきった技術とはいえ、10年以上前の問題集では、1回の試験で2問の新問が出て入れ替わっていくと想定すると、10年間で40問の新問が出現しているわけで、これだけで対策するのにはかなり不安を感じましたので、過去問5年分をネットから入手(過去問をまとめて保管して下さっているサイトがあります)して、こちらを重点に過去問回しをしました。

 過去問5年分を実際解いてみると、やはりリックの問題集とは毛色の違う問題がかなり出現しました。穴の開き方や問い方が10年の間でかなり変形していて、全く直近5年で出題されていない捨ててもよさそうな問題が、リックの問題集内に半分程度ありました。

 

 

 試験日


 DDとは違い、「技術」科目のみなのでかなり気楽に臨みました。

 今回は、会場に難があって、まず試験室が6階だったのでエレベータが若干混雑して移動が面倒でした。自席が換気口の真下で冷気が直に当たってかなり寒かったので、終始プルプル震えながらの受験となりました。プルプル震えながらの受験は、全科目受験だったら合否に影響した可能性もあります。

 9:30スタート。1科目のみですので40分後の10:10終了です。

 若干、新問や変形で悩むところはありましたが、過去問範囲外の新問は1問で、かなり余裕で解答できました。

 試験室内の3分の1は、1科目受験でした。たった40分で体は十分冷え切りました。

 

 試験を終えてみて


 自己採点は、満点でした。

 「技術」のみのレビューですがDDと同じく、セキュリティの分野は新問が出やすく、今回も2問中1問新問、他分野で2問の変形、1問の軽い変形です。他は過去問そのままでした。私は、セキュリティについては、情報系の専門学校卒+情報処理技術者試験(ITパスポートとセキュリティマネジメント試験)も合格していますので、工担試験程度のセキュリティは新問であっても特に悩みはしませんでした。

 「軽い変形」は、「過去問でも文や図は同じでも穴の開く位置が違うのが常」という変形することを想定して当然な問題のことです。今回は、これが「PVC屋内線の絶縁体の色別」で出題されました。

 直近5年の過去問になくてリックの問題集にあった問題は1問だけでした。問題製作側もリックを意識はしているでしょうが、さすがに成熟している技術とはいえ、10年改訂のない1問しか当たらなかった問題集に頼るのはかなり危険です。

 DD3の合格率が5割ほどあるのに対し、AI3はなぜか3割ほどしかありません。DD3の時は私もリックの問題集のみで十分合格できましたが、DD3の問題集は毎期ごとにしっかり改訂されていますので十分信頼できます。私見ですが、AIの合格率の低さは、AI3の古い問題集を愚直にやって、本試験で毛色の全く違う問題でやられている受験者が相当数いるのではないかと思います。この受験レポートをご覧になって、これからAI3を受験される方は、このまま問題集が改訂されなければ、問題集はほどほどにして、直近5年の過去問に中心に集中してください

 私はAIの方が難易度が高いのかとも思いましたが、実際受験すると「技術」科目についてはDDより新技術がない分、難易度は低く、直近5年の過去問回しで、合格ラインは十分突破可能と思いました。ただ、工担の3種は「基礎」落としの試験なので、基礎を受験される方は対策を十分に。

 

 合格発表


 12月16日のWEB発表で合格を確認、通知書は12月19日に到着しました。

 WEB確認後、12月16日に交付申請書を投函して、12月18日交付、12月20日に資格者証も到着しました。

 交付申請書に記載が必要な合格の日=合格発表日なのは、昨年のDD3で分かったので通知書より前に申請書を出すことができて、年内に交付まで済ますことができました。



 

 

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