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 令和元年度 第3回(令和2年2月15日実施) 無線従事者国家試験 受験レポート

区分:第一級 陸上特殊無線技士

受験地:名古屋(桜華会館)  天候:曇

【概要】:

  • この試験は電波法に規定されている業務独占資格である、無線従事者の区分の一つで、第二級陸上特殊無線技士の上位資格です。

 

  • 操作範囲
    1. 陸上の無線局の空中線電力500W以下の多重無線設備(多重通信を行うことができる無線設備でテレビジョンとして使用するものを含む。)で30MHz以上の周波数の電波を使用するものの技術操作 (電気通信事業用や放送事業用の固定局や地球局、移動体通信事業者の基地局)

    2. 2陸特の操作の範囲
      1. 次に掲げる無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
        (地上波では中短波帯やレーダーの技術操作も認められ、無線標定用レーダー(速度取締装置)、衛星波によるものはVSAT制御地球局)
        • イ 受信障害対策中継放送局及び特定市区町村放送局の無線設備
        • ロ 陸上の無線局の空中線電力10W以下の無線設備(多重無線設備を除く。)で1606.5kHzから4000kHzの周波数の電波を使用するもの
        • ハ 陸上の無線局のレーダーでイに掲げるもの以外のもの
        • ニ 陸上の無線局で人工衛星局の中継により無線通信を行うものの空中線電力50W以下の多重無線設備
    3. 3陸特の操作の範囲
      • 陸上の無線局の無線設備(レーダー及び人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備を除く。)で次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
        (地上波による通信。同報系防災行政無線の固定局、
        警察無線・消防無線・鉄道無線・タクシー無線などの陸上移動局や基地局、
        無人移動体画像伝送システムの制御用・画像伝送用や船舶・航空機に任意に持ち込む携帯局や携帯基地局)
        • 1. 空中線電力50W以下の無線設備で25010kHzから960MHzまでの周波数の電波を使用するもの
        • 2. 空中線電力100W以下の無線設備で1215MHz以上の周波数の電波を使用するもの

 

  • 1陸特があれば、現在陸上で一般的に利用されている無線設備のほとんどの技術操作が許されるという、非常に範囲の大きい資格です。ただし、放送局の設備については、コミュニティFMや衛星中継車など、一部に限定されています。

  • 2,3陸特は、本業務の傍ら、無線を利用するというニーズのためのもので一般層向けの資格であり、国家試験合格率は70%以上と難易度が低く、また、1〜2日間の養成課程により取得することもできますので、保有者は多いです。その分、操作範囲は、一般的で簡単に操作することができる無線設備に制限されています。例えばタクシードライバーや消防学校では業務無線のために3陸特を、警察学校では警察無線と速度測定レーダーのために2陸特を取得しています。

    しかし、1陸特は、携帯電話基地局やテレビ中継車などの多重無線設備の技術操作も許され、電力も500wとかなり強力なものを扱うこととなりますので、無線設備を扱うことが本業務となる、いわゆるプロ向けの資格となり、国家試験の合格率30%、養成課程は、選抜試験(選抜講習と試験で2日間)に合格の上、更に本養成課程が8日間と合計10日間必要で、かなり難易度が上がります。

  • 難易度が突然上がる1陸特は、2陸特までには許されていない「多重無線設備」を「500W」という比較的大きな電力で扱えるところがミソで、テレビ放送の中継車や携帯電話基地局の技術操作ができるということで、通信業界では常にある一定の需要がある資格です。
     

 

 

問題構成、時間

 

 

  • 問題構成
    • 科目36問あります。問題数としては普通程度しょうか。
      • 「法規」12問
      • 「無線工学」24問
    • 特殊無線技士は、科目合格はありません。
    • 各科目ごとに6割以上正答(法規:60点中40点、工学:120点中75点)で合格です。平均ではありませんので各科目均等に合格点以上取れるように勉強してください。
    • 1問5点です。
    • 問題用紙は持ち帰りできます。

 

  • 時間
    • 科目180分です。
    • 全科目一斉に問題/解答用紙が配布され試験が実施されます。マークシートは「法規」「工学」の順に並んでいますが、好きな順序で解答して構いません。60分経過で途中退室が認められます。

 

試験日までの勉強方法

 

 

  • 無線従事者系の試験勉強方法の王道である過去問回しが有効です。

  • 後述しますが、受験人数により午前と午後の2回試験が行われる会場がありますが、午後試験は実施されないこともあり、また、選ぶこともできません。自分が午前試験なのか午後試験なのかによって、集中的に学習すべき過去問が変わりますので、できるだけ早く出願と入金を済ませ、午前で受験できるようにした方がよいです。特に大都市地域では必ず午後試験があります。

  • 前述のとおり2,3陸特とはレベルがかなり違います。2,3陸特との大きな違いは計算問題で、計算問題の量が2問→6〜8問に増加し、問題の数字や解答が毎回異なります。計算問題も解答の数字だけ丸暗記すれば通過できた2,3陸特の気分で勉強に臨むと、当日、必ず白目になること間違いありませんし、計算問題が占める量が、合格ラインギリギリということで、文章題をほぼ完答できるなら計算問題を捨てられますが、文章題からも2問ほど新問や変形が出現しますので、計算全捨てだと普通に不合格になります。

  • 文章題については、特にマイクロ波に関する問題が多数頻出しますので、マイクロ波系の問題をよく攻略できるかがポイントになります。

  • それらを踏まえ次のようなスケジュールで臨みました。
    1. テキストの解説を流し読みしながら、文章題を一通り学習(12月/1か月間)
    2. 文章題を回しながら、できそうな計算問題の吟味(1月上旬/2週間)
    3. 過去5年分の午前午後両方の過去問を計算問題含めて徹底的に反復練習(1月下旬から試験前日/1か月間)

  • 文章題は、午前・午後(以下「A・B」と略します)問題どちらでもいけるように、しっかり回してください。A問からB問に移った時、穴位置が少し違うだけでいかに解けなくなるか痛感できると思います。

  • 計算問題は、自分が取り組めそうな問題をよく吟味してください。ガチの文系であれば、3,4問の回路計算問題(絶対ある)と、5問目のデシベル計算(あるかは運)は、扱えないと思いますので、捨てても良いでしょう。

  • それ以外の問題は、簡単な係数や公式を暗記すれば、四則計算、ルートの展開(因数分解)、簡単なdb計算さえできれば攻略可能ですので、何度も反復して計算方法を会得してください。問題の数字は変わりますが、題意は過去問が殆どなので、計算方法は流用ができます。くれぐれも「解答数字暗記」はダメです。まず同じ数字では出題されません。

  • ルートの展開は、√から素数に変換できれば良いです。素数から√はできなくても構いません。
    • 簡単に説明すると、ルートの中の数字を「2,3,5,7,11(素数といいます)」の順で割り切れる素数で順次割りまくっていってください。
      225なら、225÷3=75÷3=25÷5=5÷5=1になります。
      余りの出た素数「2」は飛ばして次の「3」に行ってます。計算に間違いがなければ素数は戻ることがありませんので、3で割り切れなくなったら次の5、5で割り切れなくなったら7…と1になるまでやります。
    • 割った時に使用した素数を全て書き出します。
      3 3 5 5
    • これらを等分に2つのグループに分けます。
      3と5 3と5 になります。
      等分にならないときは、どこかで計算を誤っていますのでやり直してください。
    • グループの1つに属する数字を全部掛けます。
      3×5=15
    • 等分に分けているはずなので当然、もう一つのグループも同じ数字のはずですので、
      15 15 = 15の2乗 となります。
      検算は、15×15=225で確認できます。
    • 展開は、1陸特の問題は、これで十分です。

  • 簡単なdb計算
    • 理屈抜きで、「1 2 4 8 5(真数」「0 3 6 9 7(db)」を覚えます。
      16dbなら、下一桁を上と対照し、6dbは真数4です。
    • dbの二桁目「1」は、ゼロの数を示しますので、1はゼロ1つになります。
      よって、16dbは真数40となります。
    • 26dbなら、400です。 3dbなら2です。
    • ただ、これではできない3の倍数dbが出題されることがありますので、追加で
      「2 4 8 16 32 64(真数)」「3 6 9 12 15 18(db)」も覚えます。
      前者は情報系出身なら2の累進数なので、65536ぐらいまでは普通に暗唱できるはずですし、そうでなくても2から答えに2をかけ続けているだけです。後者はただの九九の3の段です。
    • これだけ計算できれば、ほとんどのdb問題は解けますが、問5だけは扱えません。よって捨て問にしました。

  • 簡単な係数
    • ボルツマン定数=14
    • 大気の電波の屈折を考慮した等価地球半径=4.12
    • パルス=150
    • 周波数を波長にする=300で周波数を割る(150MHzなら、300÷150)=2m
    • 雑音温度=273+温度
    • 絶対→相対利得 -2.14 逆は+
    • ブラウンアンテナ=÷4
    • ダイポールアンテナ=÷3.14

  • 日常で使わないけど頻出なものはこの程度です。あとは四則計算ができれば、計算問題を反復練習してください。公式を覚えて変形などするより、題意はパターンがあるので、問題を見たら計算式がでてくるぐらいまで練習する方が効果的です。
  • これではできない計算問題は全て捨て問にしました。

  • A,B問題は非常に類似していますが、計算問題という観点では、だいたいAが素直でBがややこしく変形されていることが多いです。過去問分析ではAやBの計算が行き来することはあまりありませんので、午前受験ならA問の計算を中心に、Bはあくまで一応保険という程度で良いと思います。

 

 試験日

 

  • 受付開始日に即出願しているので午前試験です。いつもの中産連ビルではないので、受験票を見たときはうわっと思いましたが、最寄り駅は同じ、距離は今回の「桜華会館」の方が中産連の半分ほどの距離で近く、道も駅から一本道で分かりやすかったです。
  • しかし、なんだか改装工事中のようで、外壁に足場とシートがかけられており、それっぽい建物があるものの、桜華会館なのか分かりませんし、いつもは建物入り口にある「無線従事者国家試験」の垂れ幕が見当たりません。入り口を探してさまよっていたら、どうやら裏口から入ったようで、中の壁面にやっと試験案内の貼り紙を見ることができました。
  • 桜花の間」というしゃれた名前ですが、かなりくたびれた内装の簡素な絨毯敷きのステージ付きホールです。そんなに広くはなく、受験者は60人程度の収容でした。同じ建物内で全4室で試験が行われているらしいですので、200人ぐらいはいたのかなと思います。暖房はよく効いていたので冬の受験としては環境は良好でした。
  • 試験は、9:15から説明開始で、9:31スタート。
  • まずは無線工学から取り組みましたが、元々捨てていた計算問題 問3,4の他、問7,17に捨てていたパターンの計算問題がドンピシャで出現。こうも捨て問ばっか来るかー(泣)とかなり凹みました。かなり練習した、ルートの展開は役に立たず、結局取れた計算問題は2問だけでした。計算は計6問の出題でしたので、量は例年程度でしたが、中身が…
  • 文章題の方は、1問参考書にも載っていなかった斜め上の1文が追加された問題を落とした他は、過去問どおりで完答でした。
  • ということで、今回はほぼ過去問の文章題85点と、計算問題10点、まぐれマーク5点でちょうど100点獲得で合格でした。
    今回は、過去問文章題だけでも際ながら合格できたようです…
  • 法規はかなり易しく、過去問どおりでした。満点60点でこちらも合格です。
  • 一通りの解答は20分ほどで終了。10:31までは退出できませんのでひたすら見直しとマークチェックをしていました。
    合格発表は3月6日(金)16:00〜、通知書は前日5日午後に東京から発送。

 

 

 試験を終えてみて

 

  • 養成課程8日間や選抜試験、合格率30%に計算問題の多さなどから、取ってみたいなと思いながらも敬遠していた1陸特ですが、実際に勉強して受験してみると、意外とあっけなく終わりました。これも2陸特、4海通、2アマ、工担AI3、DD3、電工2種と電波電気の知識を地道に積み重ねて来た成果もあってのことだと思います。
  • アマチュアではなかなか馴染みのないマイクロ波や衛星通信、多重無線などについても理解が深められました。
  • 初見ではどんな試験でも「うぇー(吐)」となりますが、過去問をやり込めば知識は身についていき、「壁は自分が作るもの」なんて名言が思い起こされます。限界は当然どこかにあるでしょうが、「やればできる」という意気込みで、今後もチャレンジを続けていけたらと思います。
  • つぎは、工事担任者の総合種を目指します。こちらも合格率20〜30%程度ですが、科目合格もある分、一発合格は更に低いはずなので、「決しておごらず侮らず」勉強を積み重ねていきたいと思います。
  • 自分難易度ランキングは、 2アマ>DD3>電工2>1陸特>4海通 になりました。

 

 

 合格発表

 

  • 予定通り、3月6日の16:00〜発表があり、自己採点どおり、合格となりました。合格率は単純に受験番号数と合格者数で計算すると26%ほど。想定どおりの合格率です。
  • 申請書は翌日7日(土曜日)に投函しましたので、翌営業日9日には到着したはず。
  • 交付は24日ですが、手元に届いたのは27日でしたので、ちょうど20日かかりました。

  • 免許番号は、毎年4月(今年は改元の関係で5月も)リセットされ、今回は令和元年度のBS600番台でしたので、6月と10月の試験と、養成課程でおおよそ600人ほどの方が免許を受けているようです。ちなみに、平成31年の年度記号はBRが4月のみ使用されたレア記号となっています。

 

 

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