電力会社への申請と設計 |
申請の提出 |
- 工事開始前に、管轄の電力会社に相談の上、申請を提出してください。申請された設計に問題がなければ、「供給承諾」されます。申請では、幹線や分電盤の設計などを添えて提出しますので、問題があれば供給承諾はされず、指摘してもらえます。もし、先行で工事するなら分電盤より先の回路増設程度に留めておいた方がよいです。幹線や分電盤は安くないので、設計不備の指摘があった場合、買いなおしや工事のやり直しはもったいないです。
|
|
回路設計 |
分電盤 |
- 内線規程に住宅の広さに応じた回路数の規定があるので、規定以上の回路がある分電盤を選び、設計する。
- 我が家のように古い建物にはありがちな、回路が極端に少ない場合は現代の電化製品量では1回路ごとの負担も増しますし、古い回路は大体1.6mmで施工されているので、各部屋で使用される負荷をよく考えて、回路増設/旧回路を複数回路に分ける/2.0mmにサイズアップするなど考慮してください。(勧告)
|
3605-5表/住宅の分岐回路数/P681 |
|
幹線 |
- ちょっと高いですが、CVTケーブル3条より線を使用した方がよいです。こちらは3線がそれぞれ1本づつシース保護され、単体で構成されていますので安全性が高まりますし、CVTケーブルは屋内外問わず裸のまま配線が可能です。また、3線が単体構成されていることから、3線まとめてシース保護されているCVケーブルに比べて、同じスケアであってもCVTの方が許容電流を大きくとることができます。
|
|
|
幹線の太さ |
- 幹線の太さは、かなり細かい規定がありますが、住宅であれば「幹線の簡便設計」という規定があるので、それを適用して表に従った最小太さ以上の幹線を選べば問題ないです。単相3線式の場合、中性線は含まなくてもよいことになっているので、2条の条件で許容電流を取ることができます。(3条件より大きな電流が取れます)我が家の場合は、「40A…8mm2 22m以内(電線管に収めるケーブル配線)」が適用しました。
|
3605-13表/幹線の太さ…の容量/P693 |
|
幹線の許容電流 |
-
太さは、上記簡便設計で導き出せますが、申請には「最終容量(幹線が最大で耐えられる電流)」を申請する必要がありますので、具体的な数値も必要です。
-
まず、1-3-3資料から、使用するケーブルの許容電流値を探し出します。我が家の場合は、600V-CVTなのでP787の600V-CVの場合が一番近く、「8mm2…65A(空中、暗渠/2心/1条敷設」を適用しました。CVTなら単心3条の方が近い気がしますが、8mm2で72Aはさすがにと思うので、安全な小さい方の値を使いました。
- 備考1により、許容電流の線心数には中性線は含まないとなっているので、単三の場合は2心で問題ないです。
-
しかし、今回は屋外は電線管で保護するので、P792のCVケーブルを電線管などに収めた場合というのが近いので、こちらの表を適用し、「8mm2…51A(CV/2心1条)」を適用し、申請は51Aにしました。ま、無難な値でしょうが、50Aは先ほどの簡便設計では14mm2が最小になってますので、若干矛盾してますが、電力の設計からの指摘もなく「最終容量50A」でそのまま承諾されました。
なお、電線管サイズの規程もありますが、かなりオーバーサイズで、この表は「一例」の扱いなのでここは無視してしまいました。
|
1-3-3資料/ケーブルの許容電流表/P786〜 |
幹線(引込口配線)施工 |
幹線の亘長(長さ) |
- 幹線は、引込口から8m以内に引込口装置に接続することが内線規程で勧告されています。8m以内の場合であれば、引込口装置は「分電盤の主幹ブレーカー」でOKです。亘長はあくまで「勧告」なので少々オーバー程度であれば工事士の判断です。
|
1370-7-3/引込口装置の施設/P130 |
|
引込口開閉器 |
-
引込口からの幹線の亘長が8mを超える場合には、メーター二次側すぐの屋外に「引込口開閉器」を設置します。この開閉器は「過電流遮断」と「開閉機能」を備えていればよく、漏電遮断などはここでは必須ではありません。引込口開閉器以降について、その配線の長さは無制限(規則なし)となりますが、当然、電圧降下などを考慮してできる限り短くすることは必要です。
|
|
|
引込口 |
-
P15に「引込口」の定義があり、「屋外又は屋側からの電路が家屋の外壁を貫通する部分」となっています。これが少々やっかいで、簡単に言うと「引込線取付点から屋側で一番最初に外壁を貫通した部分」ということで、そこから8mが適用されます。
- 我が家のような設備変更だと隠蔽はかなり費用と手間がかかるので露出で配線することになりますが、そうするとメーターの二次側の線が建物の外壁を貫通したところから、8m適用です。
しかし、新築のように引込線取付点から速攻外壁を貫通した場合、メーターより一次側であっても貫通が始まった位置から、8mが適用されます。
ですので、できる限り露出で配線すると、8m制限についてはクリアしやすくなるということです。
-
上記が原則ですが、中部電力においては若干緩和されていて、計器の二次側で、「屋外又は屋側からの電路が家屋の外装を貫通する部分」となります。内線規程の付録(各地域電力会社用)にも目を通しておくと良いです。
|
|
|
引込口保護 |
-
これは電気工事士試験でも出題されますが、外壁は通常、トタンやサイディングなど金属材が使用されており、これらの断面はケーブル外装を破損させ、心線と接触すれば金属材には容易に電流が流れ、壁を触っただけで感電…ということになる可能性があります。これらの壁面材からケーブルを保護するため、金属材の外壁貫通は必ず電線管に収めて、貫通させます。また、電線管は屋外に向けて先下がり勾配を取って、雨水の侵入を防ぎます。できれば外側管を下方向に曲げておくと、なお良いです。
|
3102-4図/P259 |
|
幹線の固定 |
-
幹線の固定は、屋外では美観の問題もありますし、電線管に収めておけば紫外線や飛来物などからの保護も期待でき、耐用年数の向上や障害発生の確立を低減できますので、外壁固定部は出来る限り電線管に収めて施工します。
-
ケーブルを電線管に収める場合は、ケーブル工事の規則が適用されますので、電線管工事の規程は参考適用すれば良いです。電線管工事の規則は、あくまで「絶縁電線」を収めるときのみ適用されます。
-
幹線は重さも曲げにくさもそこそこありますので、管を固定するサドルは多めに使用し、重みや曲げ箇所の反発力で壁面から容易に外れないよう「堅ろう」に固定します。
-
上部は雨ができるかぎり侵入しにくいよう、エントランスキャップぐらいつけましょう。メーター取付板の下部付近で管保護をやめて(施工写真参照)、そこからはケーブル露出でそのままメーターに入れている施工がほとんどですので、我が家もその通りにしました。下部までビッチリ管保護すると、全体をしっかり防水しないと雨水が溜まるので、基本的には切りっぱなしのままで良いと思います。
-
屋外幹線の固定方法などは、隣近所の住宅の施工が大変参考になりますので、不審者にならない程度で複数の家屋のメーター付近をご覧になってください。
|
|
|
一次側と二次側 |
- この部分は、管轄の電力会社により若干異なることがあります。この規程は中部電力の場合です。
-
メーター取付板を中央として一次側を向かって左、二次側を向かって右に配線し、一次側と二次側は、メーター付近では交差しないように施工します。
- 技術上どうしても左右逆にしたい場合や交差する場合は、メーター付近で容易に消えない方法で「電源」「負荷」の表示をする。
-
幹線二次側屋側の主幹接続部は、端末処理が必要ですが、メータと引込点の部分計3か所は切りっぱなしで、雨水の侵入を防ぐ程度でビニールテープ巻をしておけば、電力会社の工事店がやってくれます。
-
幹線は、原則として途中に接続点を設けず、1本そのままで分電盤まで施工する必要があります。(幹線は一番大きな電流を扱う部分なので、事故の防止と盗電の観点)
|
|
メーター施工 |
取付板 |
-
メーター取付板は、画面表示部中央が1.8m〜2.0mの位置になるように設置します。といっても先行工事時点ではメーターが手元に無いのに画面中央なんてよく分かりませんので、取付板中央を1.8mにして設置しました。「自在取付板」という樹脂板を用意しました。内線規程の付録にBOXサイズが載っているので、誤って小さいもの(30A以下用)を取り付けないように注意します。
|
|
|
BOX |
-
特にこだわりがなければ、電力会社が樹脂製BOXを無料でつけてくれます。バリエーションは3色あって選択できます。スタイリッシュなやつがいい方などは、電力会社と相談のうえ、市販のBOXを実費でつけてください。
|
|
|
メータ |
-
メーターは、電力会社の承認を受けている工事店のみが施工できます。電力会社に申し込めば適切な業者の手配などはお任せしておけばOKです。
|
|
引込線 |
取付点 |
- 引込碍子取付金具は、既存のものをそのまま使いましたが、取付位置を変えたい場合などは予め施工しておきます。
|
|
|
引込線 |
-
引込線(DV)線の接続も、電力会社の承認を受けている工事店のみが施工できます。電力会社に申し込めば適切な業者の手配などはお任せしておけばOKです。
|
|