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− 研究レポート −

 

件 名 一般用電気工作物(一般住宅)の契約容量増設改修 (DIYで電気工事)
公開日 2019-12-14
更新日 ****-**-** (0)

 

 


 

  1. 目的
  2. 日程

現状調査

今の
分電盤


  • 「分電盤」なんてものはついておらず、木製の「分電箱」。
  • 1992年製のSBがついていて、幹線は単線VVF2.6mm-2c。主幹代わりの漏電ブレーカーがSBの二次側に後付けされている。洋室のエアコン回路を取った時の工事。
  • 各回路の遮断器は、洋室のエアコン回路を取った時にもう箱内に入りきらないため、箱外に設置されている。
  • 回路は4回路で、建築当初からの和洋室1回路、他(台所、トイレ等)1回路、増築部屋1回路、エアコン(洋室用)1回路のみなので、和室用エアコンの電源は、隣の物置部屋(増築回路)の天井シーリングから取っている状態。増築回路はあまり負荷がないので、負荷分散の苦肉の策…。
  • かなりだましだまし使っていて、不便を通り越し、そもそも危険な感じさえする。
屋根裏
  • 平屋なので、屋根裏に入れば宅内の接続点などは一目でわかる。
  • ただし、増築部屋分は、完全に隠蔽されていて確認できない。
  • 既設のVVFケーブルには「1975」の文字が…今年は2019年なので、44年前の設備ということになります。44年前で単2 30Aは十分だったでしょう。
  • VVFジョイントボックスと配線の接触部のボックス側が溶けているものが1つ。台所、洗濯の回路なので、過負荷によるものでしょう。ボックスの許容温度がケーブルより低く、ケーブルは耐えられたが、ボックスが耐えられず溶けている状態と推測。
  • 配線や絶縁テープの焼損などはありませんでしたので一安心。
  • すべて1.6mmのVVFケーブル使用。ジョイントボックス3か所。

  • 思ったより、複雑奇怪な接続。台所照明のスイッチから、隣の洋室コンセントに送りで接続していたりとか。部屋違う回路まぜるなよ。
接地

  • 接地は1か所、洗濯機用コンセントと外の浄化槽ブロワーに接続されている。
  • 電線は土中埋設のようだがなぜかすでにほとんど露出している。多分埋め込みの深さ不足?接地線の電線の表示は消えており、いつ埋設されたのかは不明。
  • 接地抵抗値はギリ100Ω程度
引込点
  • 屋根付近の隙間を使用して、樹脂管保護で貫通。
  • 支持具はそのまま使えそう。
  • DV 3.2-2cで引き込まれているらしい(電力会社の資料)
メータ
  • 単2なので小型メータ。まだスマートメータ―にもなっていない。あと1年で期限切れ。
  • メーター箱には「1975」の文字が。写真では見えにくいのですが、1φ小の上に、薄く古い中電ロゴがあり、昭和感がかなり感じられます。

 


 

施工(居室)

エアコン
  • 洋室エアコンの専用回路が、露出配線で見た目も悪いので、VVF2.0-2C + アースで屋根裏隠蔽配線に変更して、コンセントは100V 20A EETタイプに変更
  • 和室エアコンに専用回路を、VVF2.0-2C + アースで屋根裏隠蔽配線で増設して、100V 20A EETタイプコンセントを増設
電子
レンジ
 
  • 台所直上までは、VVF2.0-2C + アースで屋根裏隠蔽配線で増設、室内はモール(合成樹脂線ぴ)を使用。ケーブル工事なのでモールは化粧材扱い。
台所

  • 照明スイッチと換気扇コンセントが建築当初からの古いタイプ(黄色いやつ)だったので、交換。マイナスネジで締め付けるかなり古い器具だった。
  • プレートは簡易防火(中が金属板)に変更。
OA
コンセント
 
  • 旧洋室エアコンの回路をそのままOAコンセント回路に転用、壁を貫通したすぐでコンセント+アースを増設したので、室内の露出はほとんどなし。
玄関

  • 玄関に100V 20Aコンセントを増設(屋外で電動器具を使用するとき、ここから延長コードで電気を取るため)
  • 下足場に照明がなく、暗いのでランプレセクタプルと片切スイッチを増設
 
  • 和室、洋室の引っ掛けシーリングが割れていたので、交換
  • 増築物置部屋の引っ掛けシーリングが、和室エアコン電源から解放されたので、簡易照明器具を取付。

 

 


施工(屋外)

接地
  • 土中から浮き上がってむき出しになっている既設の接地線は、新たに電線管に収めて保護。
  • 既設のD種接地が、100Ωギリギリなので、和室床下に新たに接地極を埋設し、合計で50〜70Ωを確保。(漏電遮断器はありますが、念のため)
  • 既設の接地線と増設の接地線を屋根裏に立ち上げてリングスリーブ接続後、分電盤へ接続(共用接地方式)
メーター周辺

  • メーター取付板は、中央を1.8mで設置。電力会社の規定では画面中央1.8m以上。
  • 内線規程どおり、向かって左が一次側、右が二次側。
  • CVTケーブルなのでそのまま露出でも問題はないが、見た目の問題と外壁が鋼板なのでJ22のビニル電線管に収めた。全長が約3mあるのですが、運搬の問題で2mを3本購入して、下側でジョイントする方法をとったのですが、これが大当たりで施工しやすくて、上端の位置が一次側と二次側で若干違う分を、下端で合わせるのに、上端側施工後の実寸で下端寸法を調整してジョイント施工できたので、下端を綺麗にそろえることができました。
  • 頂部は、「エントラクイック」というワンタッチ取付のエントランスキャップを使用。これ、電線を形付けしたらそのまま上からかぶせるだけという簡単施工。わざわざケーブルを1本ずつ通したり、ネジ締めしたりする必要のない便利なやつです。(ただし、ケーブル工事専用)
  • 下地とネジ打ちしたい位置が微妙に合わず、若干、不均等な配置になってしまった。
  • 壁が白から茶に変わる境目の部分が、3センチほどの突起していて、これを回避するために電線管を若干凸に曲げ加工してあります。初めてバーナーであぶって曲げましたが、そこそこ上手にできました。
引込口

  • 引込口は、貫通保護としてノーマルベンドと屋内側に数十センチストレートを組み合わせて作った管で保護。
  • 屋内側はケーブルの自重で管が先上がり勾配になってしまい、管を伝う雨漏りが心配なので、補強材で支えて先下がり勾配を維持。屋外側はノーマルベンドで先下がりなのでケーブルからの侵入も問題ないはずです。

 


施工(既設回路修繕と切替)

修理
  • 屋根裏で熱で溶けていたジョイントボックスを、ナイスハットに交換。
接地  
  • 2本の接地極からの電線を屋根裏へ立ち上げて接続し、最終的に5.5mm2の1本線を分電盤へ接続
既設回路の切り替え
  • 既設回路のうち、和洋室とその他の2回路は、屋根裏でケーブルを新しい分電盤の直上で切断し、接続して新しい分電盤へ接続。
  • 木製分電箱を破壊
  • 増築部屋の回路は、隠蔽されて触りようがないため、元のケーブル貫通位置にジョイントボックスを設けて接続し、新しい分電盤へ接続。このジョイントボックスは、OA回路と玄関回路へのケーブルの接続点も兼ねている。

 

 

施工(引込口配線編)

引込口
  • 引込口は、貫通保護としてノーマルベンドと屋内側に15センチのストレートを組み合わせて作った管で保護。
  • 屋内側はケーブルの自重で管が先上がり勾配になってしまい、管表面を伝う雨漏りが心配なので、補強材で支えて先下がり勾配を維持。屋外側はノーマルベンドで先下がりなのでケーブルからの侵入も問題ないはずです。
取りまわし

  • 幹線は、CVT 8mm2 × 3 を使用。本当は14mm2にしたかったけど、値段が2倍になるのと、8mm2でも50AまではOKで、60Aはまず使わないのでここはコストカットした。
  • 造営材に添わせると幹線が長くなり、電圧降下や内線規程の引込口から分電盤までの8m(推奨)が、超過するため、出来る限り最短で配線
  • 結果、屋内部は引込口から分電盤まで5m以内で施工できた。
  • ケーブルの固定は、J22のサドルを流用したが、サドル直では強度に不安があったので、短く切った管にケーブルを通してからサドルで一緒に固定。
分電盤貫通

  • 屋内のケーブルが分電盤に向かって先下がり勾配なので、万が一、屋根からの雨漏りがケーブルを伝って分電盤内に侵入することを防止するため、分電盤貫通点直近で、一旦電線を立ち下げた。
  • その後、一応幹線は貫通保護と、近傍にある二次側との混触防止のため、電線管に入れて屋内の分電盤直上へ貫通させた。
  • 分電盤直上貫通後で管保護はおしまい。今後の電流測定時のクランプスペースとしてケーブルのまま盤へ引き込む。

 

施工(引込線工事工事編)

メータ  
  • 朝9時に到着。15分ほど作業準備後停電しました。かなりスムーズで10時には終わりました。
  • スムーズな工事だったので、停電で一番の心配の種だった冷蔵庫は大丈夫でした。冷凍品は事前に使い切っていたのですが、冷蔵品は調味料系を全て使うのは難しかったので…
  • PC系は前に組んでおいた自作UPS(サーバー、ルータと、IP電話なら9時間運用)で、今回は9時間も停電しないので、時間つぶしのテレビもつけてみました。

 

  • 工事は中部電力の協力会社(名古屋引き込み工事センター)が施工しました。
  • 停電後、分電盤に40A主幹を取り付け、新しい幹線に主幹を接続。これは今日唯一の私の仕事です。

 

  • 予想通り、メーターBOXはかなりデカくなりました。スマートメータは大きさもスマートなようで、中はかなりの空間があります。もう少しBOX小さくすればいいのに…とも思いましたが、メーターはどうやら上下に分離して組み立てるらしいので、上方に空間が必要なようです。
  • 色は「ライトブラウン」という茶色系に色です。壁のトタンとほぼ同じ色でマッチしました。
  • 古いメーターは、BOXごと業者が撤去しましたが、幹線や取付板(木製)は、そのまま放置で見た目が悪いので、腐った取付板は外して、壁面の貫通穴はシリコンで埋めて防水しておきました。
  • 有効期限は10年後の2029年8月まで。さすがに10年後はもうこの建物はないと思います。
引込線

  • 真新しい引込線が、先に工事しておいたCVTケーブルに接続されました。
  • 電力会社の電線路につながり、工事が大詰めを迎えたなと感じた瞬間です。

 

  • 分電盤の主幹一次側で相間電圧を確認して、「もう電気使って頂いて大丈夫です」の完了宣言後、自分で主幹ON。これでバチッとか落ちたら最悪だなと思いながらも、難なく通電。

 

  • DVとCVとの結線は、青−赤 緑−白 黒−黒。 碍子への引留は青と黒の2本でした。電線表示は「<PS>E JET AICHI 2019 DS-DV 3.2mm」
変更調査
  • このDIYでガチの電気工事計画もついに終盤を迎えました。変更調査(竣工検査)です。
  • この検査で不合格になると最悪供給停止…なんてこともあり得ますから、一番の緊張の瞬間です。
  • 14時30頃に、中部電力の社員が直々に調査に来ました。(いつもの何とか協会が来ると思っていました)
  • 屋内分電盤で、接地抵抗値と絶縁抵抗値(停電作業)を測定して、報告に必要だそうで分電盤全体と主幹の拡大写真を撮影され、屋内は分電盤のみ3分でおしまい。
  • 屋外はメーターの点検と封印、引込線の目視点検。
  • 10分ほどで「問題はありません」で、終了しました。あまりにサラッと終わったので拍子抜けしました。
  • メーターBOXには封印がつきましたので、もう中を見ることはできません。
  • メーターBOXの新しい中電みかんロゴが、今までの昭和を感じさせません(笑)が、来年2020年には新しいロゴに刷新されるそうですので、今度は平成を感じるものになりそうです(泣)。
帳票の提出
  • 電気工事しゅん工記録と内線図面を、16時45分ごろに電力会社にFAX。この帳票が工事を完了したことを報告するもので、これで今回の工事は完了です。

 

  • しかし契約情報はメーターの中になって、今までのようにSBでの目視確認ができませんから、40Aという表示はどこにも見えていませんので、確証はありませんが。

 

 

特別編(メーターのぞき見編)

メータ
  • メーター工事後から調査までは、メーターに封印がありません。封印は竣工調査後に電力会社が行います。
    今日は、施工後確認という大義名分がありますので、のぞき見させていただきました!
  • 外のBOXを開け、メーター下部の端子カバーを取り外したところ、こんな感じです。
  • メーターは2029年8月まで有効なので、基本的に10年間ここに鎮座し続けます。
  • カバー取外し通報スイッチは、通信線(右の白い線)の左横にありました。

 

  • メーター下部の端子カバーを開けると、スイッチが感知して電力会社に通報が行くようですので、無資格者はもちろん、有資格者であってもむやみに開けないでください。
表示部
  • 2019年製、念願の単相3線式です。
  • スマートメーターになってからは、供給用(普通)と、購入用(発電している人)が1つの計器になりましたので、発電しない場合でも購入用の表示があります。もちろん、増えませんが。
    表示は一定間隔で自動的に切替表示されます。
  • こちらは「購入用」数値、上の写真は「供給用」数値です。
通信部
  • うちは一応アマチュア無線もやってるのでPLCだとちょい不安だったのですが、Aルートはマルチホップ、Bルート920MHzタイプでした。
  • 認証番号で検索すると、使用されている電波の型式、周波数、電力は「F1D 923.7〜927.9MHz(200kHz間隔22波) 0.02W」でした。
  • Aルートはマルチホップ(MH)としか記載がありませんが、マルチホップも920MHzを使用するようです。
    Aルートは、MH(マルチホップ)、PLC、1:N(携帯電話ネットワーク)の3種類があり、PLCは地下やビル内などの電波が届かない場所、1:Nは過疎地域などMHもPLCも適さない場所に用いられます。
  • Bルートは、Wi-Sun(920MHz)の他、PLCタイプもあります。
  • ちなみに、Aルートが電力会社との通信、BルートがHEMS機器(自宅の機器)との通信、Cルートが第三者への通信(小売事業者等)への用ルートとなるそうです。
    セキュリティ上、BとCルートの開通には、それぞれ書面による手続きが必要です。
  • メーターBOXを開けて、更に中のメーターカーバーを開けないと見えないので、のぞき見しなければ絶対見られない部分です(笑)
  • コンセントレータという基地局が一部の電柱にあって、そのコンセントレータまでは、近くのメーターにバケツリレーでデータを渡してコンセントレータまで届けます。
    つまり、コンセントレータに近いメーターは、負荷(通信量)が多くなるということになります。どこのメーターにデータをリレーするかは、データの到達具合など自動的に分析して構築されるようです。
端子部
  • 1S 2S 3S 3L 2L 1L の順で結線されています。 1が赤 2が白 3が黒で、 Sが一次 Lが二次のようです。
  • この端子ですが、一度外すと再使用できない仕様らしいですし、これ以上触ると施工された業者にも迷惑がかかる可能性があるので、これで目視点検はやめておきます。



ポイント

 

電力会社への申請と設計 申請の提出
  • 工事開始前に、管轄の電力会社に相談の上、申請を提出してください。申請された設計に問題がなければ、「供給承諾」されます。申請では、幹線や分電盤の設計などを添えて提出しますので、問題があれば供給承諾はされず、指摘してもらえます。もし、先行で工事するなら分電盤より先の回路増設程度に留めておいた方がよいです。幹線や分電盤は安くないので、設計不備の指摘があった場合、買いなおしや工事のやり直しはもったいないです。
 
回路設計 分電盤
  • 内線規程に住宅の広さに応じた回路数の規定があるので、規定以上の回路がある分電盤を選び、設計する。
  • 我が家のように古い建物にはありがちな、回路が極端に少ない場合は現代の電化製品量では1回路ごとの負担も増しますし、古い回路は大体1.6mmで施工されているので、各部屋で使用される負荷をよく考えて、回路増設/旧回路を複数回路に分ける/2.0mmにサイズアップするなど考慮してください。(勧告)
3605-5表/住宅の分岐回路数/P681
  幹線
  • ちょっと高いですが、CVTケーブル3条より線を使用した方がよいです。こちらは3線がそれぞれ1本づつシース保護され、単体で構成されていますので安全性が高まりますし、CVTケーブルは屋内外問わず裸のまま配線が可能です。また、3線が単体構成されていることから、3線まとめてシース保護されているCVケーブルに比べて、同じスケアであってもCVTの方が許容電流を大きくとることができます。
 
  幹線の太さ
  • 幹線の太さは、かなり細かい規定がありますが、住宅であれば「幹線の簡便設計」という規定があるので、それを適用して表に従った最小太さ以上の幹線を選べば問題ないです。単相3線式の場合、中性線は含まなくてもよいことになっているので、2条の条件で許容電流を取ることができます。(3条件より大きな電流が取れます)我が家の場合は、「40A…8mm2 22m以内(電線管に収めるケーブル配線)」が適用しました。
3605-13表/幹線の太さ…の容量/P693
  幹線の許容電流
  • 太さは、上記簡便設計で導き出せますが、申請には「最終容量(幹線が最大で耐えられる電流)」を申請する必要がありますので、具体的な数値も必要です。
  • まず、1-3-3資料から、使用するケーブルの許容電流値を探し出します。我が家の場合は、600V-CVTなのでP787の600V-CVの場合が一番近く、「8mm2…65A(空中、暗渠/2心/1条敷設」を適用しました。CVTなら単心3条の方が近い気がしますが、8mm2で72Aはさすがにと思うので、安全な小さい方の値を使いました。
  • 備考1により、許容電流の線心数には中性線は含まないとなっているので、単三の場合は2心で問題ないです。
  • しかし、今回は屋外は電線管で保護するので、P792のCVケーブルを電線管などに収めた場合というのが近いので、こちらの表を適用し、「8mm2…51A(CV/2心1条)」を適用し、申請は51Aにしました。ま、無難な値でしょうが、50Aは先ほどの簡便設計では14mm2が最小になってますので、若干矛盾してますが、電力の設計からの指摘もなく「最終容量50A」でそのまま承諾されました。
    なお、電線管サイズの規程もありますが、かなりオーバーサイズで、この表は「一例」の扱いなのでここは無視してしまいました。
1-3-3資料/ケーブルの許容電流表/P786〜
幹線(引込口配線)施工 幹線の亘長(長さ)
  • 幹線は、引込口から8m以内に引込口装置に接続することが内線規程で勧告されています。8m以内の場合であれば、引込口装置は「分電盤の主幹ブレーカー」でOKです。亘長はあくまで「勧告」なので少々オーバー程度であれば工事士の判断です。
1370-7-3/引込口装置の施設/P130
  引込口開閉器
  • 引込口からの幹線の亘長が8mを超える場合には、メーター二次側すぐの屋外に「引込口開閉器」を設置します。この開閉器は「過電流遮断」と「開閉機能」を備えていればよく、漏電遮断などはここでは必須ではありません。引込口開閉器以降について、その配線の長さは無制限(規則なし)となりますが、当然、電圧降下などを考慮してできる限り短くすることは必要です。
 
  引込口
  • P15に「引込口」の定義があり、「屋外又は屋側からの電路が家屋の外壁を貫通する部分」となっています。これが少々やっかいで、簡単に言うと「引込線取付点から屋側で一番最初に外壁を貫通した部分」ということで、そこから8mが適用されます。
  • 我が家のような設備変更だと隠蔽はかなり費用と手間がかかるので露出で配線することになりますが、そうするとメーターの二次側の線が建物の外壁を貫通したところから、8m適用です。
    しかし、新築のように引込線取付点から速攻外壁を貫通した場合、メーターより一次側であっても貫通が始まった位置から、8mが適用されます。
    ですので、できる限り露出で配線すると、8m制限についてはクリアしやすくなるということです。
  • 上記が原則ですが、中部電力においては若干緩和されていて、計器の二次側で、「屋外又は屋側からの電路が家屋の外装を貫通する部分」となります。内線規程の付録(各地域電力会社用)にも目を通しておくと良いです。
 
  引込口保護
  • これは電気工事士試験でも出題されますが、外壁は通常、トタンやサイディングなど金属材が使用されており、これらの断面はケーブル外装を破損させ、心線と接触すれば金属材には容易に電流が流れ、壁を触っただけで感電…ということになる可能性があります。これらの壁面材からケーブルを保護するため、金属材の外壁貫通は必ず電線管に収めて、貫通させます。また、電線管は屋外に向けて先下がり勾配を取って、雨水の侵入を防ぎます。できれば外側管を下方向に曲げておくと、なお良いです。
3102-4図/P259
  幹線の固定
  • 幹線の固定は、屋外では美観の問題もありますし、電線管に収めておけば紫外線や飛来物などからの保護も期待でき、耐用年数の向上や障害発生の確立を低減できますので、外壁固定部は出来る限り電線管に収めて施工します。
  • ケーブルを電線管に収める場合は、ケーブル工事の規則が適用されますので、電線管工事の規程は参考適用すれば良いです。電線管工事の規則は、あくまで「絶縁電線」を収めるときのみ適用されます。
  • 幹線は重さも曲げにくさもそこそこありますので、管を固定するサドルは多めに使用し、重みや曲げ箇所の反発力で壁面から容易に外れないよう「堅ろう」に固定します。
  • 上部は雨ができるかぎり侵入しにくいよう、エントランスキャップぐらいつけましょう。メーター取付板の下部付近で管保護をやめて(施工写真参照)、そこからはケーブル露出でそのままメーターに入れている施工がほとんどですので、我が家もその通りにしました。下部までビッチリ管保護すると、全体をしっかり防水しないと雨水が溜まるので、基本的には切りっぱなしのままで良いと思います。
  • 屋外幹線の固定方法などは、隣近所の住宅の施工が大変参考になりますので、不審者にならない程度で複数の家屋のメーター付近をご覧になってください。
 
  一次側と二次側
  • この部分は、管轄の電力会社により若干異なることがあります。この規程は中部電力の場合です。
  • メーター取付板を中央として一次側を向かって左、二次側を向かって右に配線し、一次側と二次側は、メーター付近では交差しないように施工します。
  • 技術上どうしても左右逆にしたい場合や交差する場合は、メーター付近で容易に消えない方法で「電源」「負荷」の表示をする。
  • 幹線二次側屋側の主幹接続部は、端末処理が必要ですが、メータと引込点の部分計3か所は切りっぱなしで、雨水の侵入を防ぐ程度でビニールテープ巻をしておけば、電力会社の工事店がやってくれます。
  • 幹線は、原則として途中に接続点を設けず、1本そのままで分電盤まで施工する必要があります。(幹線は一番大きな電流を扱う部分なので、事故の防止と盗電の観点)

 

 
メーター施工 取付板
  • メーター取付板は、画面表示部中央が1.8m〜2.0mの位置になるように設置します。といっても先行工事時点ではメーターが手元に無いのに画面中央なんてよく分かりませんので、取付板中央を1.8mにして設置しました。「自在取付板」という樹脂板を用意しました。内線規程の付録にBOXサイズが載っているので、誤って小さいもの(30A以下用)を取り付けないように注意します。
 
  BOX
  • 特にこだわりがなければ、電力会社が樹脂製BOXを無料でつけてくれます。バリエーションは3色あって選択できます。スタイリッシュなやつがいい方などは、電力会社と相談のうえ、市販のBOXを実費でつけてください。
 
  メータ
  • メーターは、電力会社の承認を受けている工事店のみが施工できます。電力会社に申し込めば適切な業者の手配などはお任せしておけばOKです。
 
引込線 取付点
  • 引込碍子取付金具は、既存のものをそのまま使いましたが、取付位置を変えたい場合などは予め施工しておきます。
  引込線
  • 引込線(DV)線の接続も、電力会社の承認を受けている工事店のみが施工できます。電力会社に申し込めば適切な業者の手配などはお任せしておけばOKです。
 

 


工事の費用(自己負担分)

幹線 CVT 8mm2 3c 20m 9140
  • 実際は、一次側5m、二次側10mほどの使用でした。幹線は一本もので施工しなければならないので、不足はないように、また、計器や幹線取付の余長も考えて注文してください。
分電盤 BQWB8484 11422  
その他 有償 23064
  • 電線管(管6m、サドル、固定ネジ)
  • 新回路(コンセント20A EET×3、露出型BOX、ステープル、モール)
  • 電線 VVF 2.0mm 2c
  • 電線 VVF 2.6mm 2c (既存仮幹線用)
  • アース(電線 IV 5.5mm2 5m、電線管、ジョイントBOX丸)
  • 既設修繕(スイッチプレート×2)
  • 既設回路(ジョイントBOX角、ナイスハット)
  • R6-8丸型圧着端子(分電盤付属品はR6-14でした)
その他 無償(在庫品) 0
  • IV 1.6mm 緑
  • 既設修繕(スイッチ×1、コンセント×1、引っ掛けシーリング角×1、取付プレート×2)
  • シリコンコーキング(配線貫通部周囲の穴埋め、旧電力メータ関係の穴埋め等)
工具 圧着端子ハンドプレス 6683
  • 分電盤の主幹一次側に幹線を取り付けるために、幹線側にR6-8丸形圧着端子を取り付ける必要があり、この工事ではこのためだけの工具です。
書籍 内線規程とQA集 7560
  • 電気工事士試験のみではカバーできない細かい規定を理解するのに必携です。
  工事費合計 57869  

 


感想

 

 

 


 

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